流星機関

わが機関淋しからずや天体の軌道を逸れし流星のごと

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電脳奇譚
【平成十九年短歌研究新人賞佳作】

目覚むれば真つ先に押すスイッチの音は幽けく部屋に響けり
まほろばを夢見て独り真昼間のうす汚れたる窓を開けつつ
さみどりの風吹きよせるパソコンの中に蠢く魑魅魍魎は
此処からは電脳の街 あまたなるリンクバナーをすり抜けながら
電脳のビル聳えたつ王国の何処へ往けども窓、そして窓
いつにしか迷ひ込みた路地裏のネオンサインはうら哀しくも
囚はれし鼠の如くけふもまたマウスはマウスパットのうへを
わが胸にどつとあふるる切なさは辿り着きたる .comより
廃刊の電子ブックをめくりつつめくるめくわが夜のはじまり
ことごとく文字化けしたる文章の文字は異界の言葉の如し
淋しくてクリックすれば画面にはいつも煌く星空があり
人知れずブログにそつと貼りつけし月を眺めてしばし憩へり
うつし世かそれとも夢か夏の夜のアバターといふ分身がゐて
ぬばたまの闇に紛れて動き出すハッカーといふ人たちもゐて
人間も出品されてゐたといふオークションその闇の何処かで
もう誰も開けることなき受信箱のポストペットは死に瀕しをり
いたづらに人の秘密を撒き散らす奴の徒名はさしずめウィニー
銃を手にただやみくもに殺しあふ十番街を出て、ローソンへ
けふもまた電脳カフェに入りびたる青年あはれ難民のごと
鍵盤を叩くが如くキーボードを叩いて汝は 髪もみだらに
情報を公開したるその日よりたちまち神と崇められつつ
今もなほ英雄として君臨すHALといふ名のコンピューターは
また独り部屋にこもりて歌を詠む淋しからずやネット歌人は
結社にも派にも属せぬわれがゐて 今宵、電脳歌会へ往く
混みあへる電車に独り揺られつつ 電車男のその後の行方
窓ぎはで電子メールを打ちながら未だ見ぬ君をひたぶるに恋ふ
あらはるる少女は髪をなびかせて月夜にダウンロードをすれば
積もりゆく孤独はなほも真夜中のサーフィンをする波のまにまに
果てしなきネットの海をさまよへる人魚の恋は叶はざるまま
わけもなく眠れぬ夜は街に棲む電気羊の数をかぞへて…
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