流星機関

わが機関淋しからずや天体の軌道を逸れし流星のごと

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早春挽歌
【平成十六年短歌現代新人賞佳作】

咲きそむる彼岸櫻を眺めつつひとしきり聴く春の足音
カザルスの弾くセロのごと早春の蒼穹を舞ふ鳥たちの声
春うらら、海の向かふで戦争が始まることもまぼろしのごと
アラジンの魔法も効かず戦争は始まる 春の息吹と共に
見上ぐれば晴天なれど戦雲は地上に低くたれこめてをり
アメリカよ何処へゆくのか逸れたる一羽の鷹をわれは思ひき
戦地から遠く離れて独り見ゆ 染井吉野の咲き乱るるを
聖戦の対極にある聖林 いづれも聖の字を持ちながら
米軍に包囲されたる市街地 対立したる正義と正義
血ぬられし人の世なれど滔滔と河は流るる 湾岸の地を
反戦を君は唱へて雨の日の路上に集ふ 傘もささずに
闘争を知らぬ世代のひとりにて反論もせず雨を見てゐる
戦争は深まりつつもやはらかな春の陽は射す 朝の窓辺に
街といふ戦場もあり 閉店のチラシは春の風に揺れつつ
人はみな血なまぐさき修羅場にて戦ふ兵士なのかも知れず
春泥にひとひらの花散りゆくをわれは見てをり 瞬きもせず
蒼ざめし頬くれなゐに染まりつつ如何なる武器もわれは持たねど
ほの暗き喫茶店にて独り聴くボブ・ディランその苦き歌声
ことごとく破壊されたる戦場に咲く一輪の花の名前は…
われを待つトルソーの胸ひえびえと黄昏てゆく花冷えの午後
呪はしき夢を見てゐる春の夜 見知らぬ町へゆく機関車は
出口なき春の迷宮 トンネルを抜けるとそこは戦場だつた。
ばさばさと軍旗はためく空の下 何処へゆけども非国民われ
櫻散る季節となりて カミカゼの特攻服を着せられてゐる
閃光を浴びてたちまち灰となる 遺詠のごとき影を残して
目ざむれば窓辺に揺らる花影のおだやかなれど 平成の世は
風に舞ふ花びらよりも呆気なく散るものなのか 人の命は
ささやかな祈りを込めて人知れず散りゆく花をわれは描きをり
天空に舞ひもどりたる鳥たちの囀りを聴く 奇蹟の如く
散り散りに散りゆく花の美しき命に捧ぐ 早春挽歌
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