流星機関

わが機関淋しからずや天体の軌道を逸れし流星のごと

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郷愁恋歌
草稿中
| 23:05 | - | comments(5) | trackbacks(8) |
電脳奇譚
【平成十九年短歌研究新人賞佳作】

目覚むれば真つ先に押すスイッチの音は幽けく部屋に響けり
まほろばを夢見て独り真昼間のうす汚れたる窓を開けつつ
さみどりの風吹きよせるパソコンの中に蠢く魑魅魍魎は
此処からは電脳の街 あまたなるリンクバナーをすり抜けながら
電脳のビル聳えたつ王国の何処へ往けども窓、そして窓
いつにしか迷ひ込みた路地裏のネオンサインはうら哀しくも
囚はれし鼠の如くけふもまたマウスはマウスパットのうへを
わが胸にどつとあふるる切なさは辿り着きたる .comより
廃刊の電子ブックをめくりつつめくるめくわが夜のはじまり
ことごとく文字化けしたる文章の文字は異界の言葉の如し
淋しくてクリックすれば画面にはいつも煌く星空があり
人知れずブログにそつと貼りつけし月を眺めてしばし憩へり
うつし世かそれとも夢か夏の夜のアバターといふ分身がゐて
ぬばたまの闇に紛れて動き出すハッカーといふ人たちもゐて
人間も出品されてゐたといふオークションその闇の何処かで
もう誰も開けることなき受信箱のポストペットは死に瀕しをり
いたづらに人の秘密を撒き散らす奴の徒名はさしずめウィニー
銃を手にただやみくもに殺しあふ十番街を出て、ローソンへ
けふもまた電脳カフェに入りびたる青年あはれ難民のごと
鍵盤を叩くが如くキーボードを叩いて汝は 髪もみだらに
情報を公開したるその日よりたちまち神と崇められつつ
今もなほ英雄として君臨すHALといふ名のコンピューターは
また独り部屋にこもりて歌を詠む淋しからずやネット歌人は
結社にも派にも属せぬわれがゐて 今宵、電脳歌会へ往く
混みあへる電車に独り揺られつつ 電車男のその後の行方
窓ぎはで電子メールを打ちながら未だ見ぬ君をひたぶるに恋ふ
あらはるる少女は髪をなびかせて月夜にダウンロードをすれば
積もりゆく孤独はなほも真夜中のサーフィンをする波のまにまに
果てしなきネットの海をさまよへる人魚の恋は叶はざるまま
わけもなく眠れぬ夜は街に棲む電気羊の数をかぞへて…
| 19:44 | - | comments(0) | trackbacks(0) |
帝都彷徨
愚かなる症候群のひとつにて今宵も独り彷徨ふ帝都
ただよへる霧のさなかに聳え立つ凌雲閣は夢の如くに
帝都には金色の雨ふるといふ電氣ブランを独り飲みつつ
思ひでの二重橋より眺むれば帝都はかくも黄昏てをり
今は亡き弁士が語る懐かしき活動寫眞の花売り娘
うるはしき松竹少女歌劇団 帝都の夜を彩るやうに
いつにしか辿り着きたる雨の夜の博覧會は哀しからずや
忍ぶ恋 忍ばざる恋 われもまた月明かり射す池のほとりで
そのかみの闇にともりし瓦斯灯のあかりは胸に沁みゐるばかり
また独り電氣ブランをかたぶけて未だ見ぬ君の面影を恋ふ

…草稿中…
| 00:00 | - | comments(0) | trackbacks(0) |
花に寄す
花に寄す 乙女のやうな優しさを 否、烈しさを胸に宿して
伝説の女神の化身なるがゆゑたをやかに咲く金色の花
古代より大和の国にあるといふ椿は今もいと艶やかに
蒲公英の綿毛は風に吹かれつつ遥かなる野も春たけにけり
櫻とふ花の命の眩しさに今は亡きかのをみなごを思(も)ふ

…草稿中…

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流星機関
太陽系第三惑星地球にはかくも哀しき生物がゐて
傾けしグラスの氷まぶしくも流るる星のかけらの如く
見上ぐれば山のあなたの空とほく銀河の闇に煌く星よ
わが機関淋しからずや天体の軌道を逸れし流星のごと
かすかなる六等星の輝きで照らせばふいに打ち寄せる波
手探りで闇を彷徨ふ人はみな夜の機関士なのかも知れず
色褪せし絵本の中の銀河にもひとりぼつちの機関士がゐて
星空をさすらふ如くけふもまた機関車はゆく夢のはざまを

…草稿中…
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月を肴に
微笑みを略奪したき夜なれば月を肴に飲むウヰスキー
かの空に月が昇ればひつそりと今宵赤玉ポートワインを
天翔けることもなきまま独り飲むキリンビールの麒麟はけふも
飲みかけのカティーサークもそのままに三日月が待つ停車場へ往く
月に棲む二羽の兎を追ひかけて辿り着きたるBAR「ルナテック」
ぱつくりと金魚を食べる猫がゐてひそかにわらふ満月がゐて
メリエスのキネマのやうな月の下さすらふわれも月世界人
気がつけば月は東に日は西にわれは煎餅布団のうへに

…草稿中…
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早春挽歌
【平成十六年短歌現代新人賞佳作】

咲きそむる彼岸櫻を眺めつつひとしきり聴く春の足音
カザルスの弾くセロのごと早春の蒼穹を舞ふ鳥たちの声
春うらら、海の向かふで戦争が始まることもまぼろしのごと
アラジンの魔法も効かず戦争は始まる 春の息吹と共に
見上ぐれば晴天なれど戦雲は地上に低くたれこめてをり
アメリカよ何処へゆくのか逸れたる一羽の鷹をわれは思ひき
戦地から遠く離れて独り見ゆ 染井吉野の咲き乱るるを
聖戦の対極にある聖林 いづれも聖の字を持ちながら
米軍に包囲されたる市街地 対立したる正義と正義
血ぬられし人の世なれど滔滔と河は流るる 湾岸の地を
反戦を君は唱へて雨の日の路上に集ふ 傘もささずに
闘争を知らぬ世代のひとりにて反論もせず雨を見てゐる
戦争は深まりつつもやはらかな春の陽は射す 朝の窓辺に
街といふ戦場もあり 閉店のチラシは春の風に揺れつつ
人はみな血なまぐさき修羅場にて戦ふ兵士なのかも知れず
春泥にひとひらの花散りゆくをわれは見てをり 瞬きもせず
蒼ざめし頬くれなゐに染まりつつ如何なる武器もわれは持たねど
ほの暗き喫茶店にて独り聴くボブ・ディランその苦き歌声
ことごとく破壊されたる戦場に咲く一輪の花の名前は…
われを待つトルソーの胸ひえびえと黄昏てゆく花冷えの午後
呪はしき夢を見てゐる春の夜 見知らぬ町へゆく機関車は
出口なき春の迷宮 トンネルを抜けるとそこは戦場だつた。
ばさばさと軍旗はためく空の下 何処へゆけども非国民われ
櫻散る季節となりて カミカゼの特攻服を着せられてゐる
閃光を浴びてたちまち灰となる 遺詠のごとき影を残して
目ざむれば窓辺に揺らる花影のおだやかなれど 平成の世は
風に舞ふ花びらよりも呆気なく散るものなのか 人の命は
ささやかな祈りを込めて人知れず散りゆく花をわれは描きをり
天空に舞ひもどりたる鳥たちの囀りを聴く 奇蹟の如く
散り散りに散りゆく花の美しき命に捧ぐ 早春挽歌
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